技能職紹介 「畳屋」

日本の心を守る  畳屋(たたみや)さん

畳屋さんってどんなしごと?

畳屋さん

畳は世界に例のない日本独特の文化で、もちろん畳職人も日本にしかいません。
畳は「トコ(床)」と呼ばれるワラを束ねた心材の表面に巻く、イグサで編まれた「オモテ(表)」、縁につける「ヘリ(縁)」からできています。 この3種類の材料を縫い合わせるのが畳屋さんの主な仕事です。
畳は高い断熱性と保温性を持ち、また湿度の調整もしてくれるので、日本の気候にぴったりです。 また、オモテにつかわれているイグサの香りはリラックス効果があることがわかっています。 最近では洋風のフローリングの部屋でも、畳のベッドを使う人が増えてきています。
部屋の作りや広さはいつも同じというわけではありません。畳屋さんはその部屋にぴったり合うように畳の大きさを調整します。 隙間のないように作るのが畳屋さんの腕の見せ所です。

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畳屋さんの技 その1

●畳の作り方

最近ではほとんど機械で作られています。しかし、細かい最後の仕上げにはいまだに手作業をすることがあります。

右が伝統的な藁床、左が最新の材料を使った化学床
右が伝統的な藁床、左が
最新の材料を使った化学床。
オモテ。いろいろな目の細かさがある。
オモテ。いろいろな目の
細かさがある。
ヘリの見本カタログ。何十種類もの中から選ぶ。
ヘリの見本カタログ。
何十種類もの中から選ぶ。

●畳の大きさ

地方によって大きさが違います。皆さんの家の畳の大きさはどれでしょう。

名前 大きさ 使用地方
京間(きょうま)、
本間(ほんま)、
関西間(かんさいま)
3尺1寸5分×6尺3寸
(955mm×1910mm)
主に近畿、四国、中国、九州
中京間(ちゅうきょうま)、
三六間(さぶろくま)
3尺×6尺
(910mm×1820mm)
主に愛知、岐阜と一部の東北地方
江戸間(えどま)、
関東間(かんとうま)、
田舎間(いなかま)、
五八間(ごはちま)
2尺9寸×5尺8寸
(880mm×1760mm)
主に関東地方と北海道、一部の東北地方
団地間(だんちま)、
公団(こうだん)サイズ、
五六間(ごろくま)
色々あるが、
2尺8寸×5尺6寸が基本
(850mm×1700mm)
公団住宅、アパート、マンション等の集合住宅


★日本で昔使われていた長さの単位:1尺=約30.3cm 1寸=約3.03cm 1分=約3mm

 

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畳屋さんの技 その2

畳屋さんの技「オモテをトコに縫い付ける作業」
オモテをトコに縫い付ける作業。 5センチほどのトコに太い針と糸を通すため、かなりの力がいりますが、職人さんは軽々とやってのけます。

畳屋さんの技「オモテをトコに縫い付けている機械」
現在は機械でほとんどの作業を行っています。
写真はオモテをトコに縫い付けているシーンです。

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畳屋さんの技 その3

●畳の敷き方

敷き方には基本的に決まりがありますが、畳屋さんは部屋の形によって敷き方を変えます。

  • ・祝儀敷き…通常この敷き方をする。畳4枚の4隅がくっつかないようにする。
  • ・不祝儀敷き…お葬式の時のような縁起の悪い時の敷き方。

畳屋さんの技「祝儀敷き」

畳屋さんの技「不祝儀敷き」


★十字路のことを四つ辻といいます。昔、四つ辻は縁起が悪いとされていました。
畳の角が4つつながる部分が四つ辻に見えることから、今でも縁起の悪い敷き方とされています。

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畳屋さんの道具

●道具いろいろ

畳屋さんの道具「畳針」
▲畳針
色々な長さがあり、使い分け
ています。
 
 
 
畳屋さんの道具「マチバリ」
▲マチバリ
オモテを固定するのに使い
ます。同じ名前でも、お裁縫
で使うマチバリとは
大きさが全く違います。
 
畳屋さんの道具「ヘリシキ」
▲ヘリシキ
ヘリを縫い付けるときに固定
するのに使います。
写真の物は20年使っている
もので、指が当たるところが
へこんでしまっています。
畳屋さんの道具「手当て」
▲手当て
太い畳針を刺す時に、
手が傷つかないように使います。
手当ての中には金属の板が入っています。
畳屋さんは手当てを自分で作ります。
 
 
 
畳屋さんの道具「包丁」
▲包丁
トコやオモテを切るのに使います。
手入れのときに研ぐため、
使い続けると小さくなっていきます。
一番小さいものは大事に70年使い続けた
ものです。
もともとは一番左の包丁くらいの大きさ
だったって信じられますか?

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畳屋さんの歴史

畳屋さんの歴史「豊玉彦命と豊玉姫は畳の神様とされています」

伝説では海の神様である豊玉彦命と 豊玉姫が客をもてなしたとき、畳を重ねて 座らせたというのが始まりです。そのため、 豊玉彦命と豊玉姫は畳の神様とされてい ます。 

←畳の神様
 座っているのが豊玉彦命と豊玉姫。
 お客さんが八角形の畳の上に立っている。

畳は日本にしかない文化です。最初は藁を重ねていただけでしたが、平安時代に束ねて編むようになっていきました。 次第に厚みや大きさも決められていき、使う人の身分によってヘリの色までも決められていました。
最初は人が寝たり座ったりする場所だけに敷き、布団や座布団のように使っていました。 それがだんだんと部屋全体に敷くようになり、室町時代に茶道が流行して正座をするようになると、一気に広まっていきました。
ただし、それでも畳は貴族や武士などの身分の高い人だけが使うものでした。 一般庶民に広まったのは江戸時代の終りごろです。畳の歴史は長いですが、多くの人が使えるようになるのはだいぶ後になってからなのです。
そして今では洋式の家が増えていて、和室のないお家もたくさんあります。みなさんのお家に畳はありますか?

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畳屋さんの魅力
現役の畳屋さんに仕事の面白さを聞きました!

現役の畳屋さん「芦原畳店 芦原将さん」
大正4年(1915年)のおじいさん
の代から続いている畳屋さんは、
もうすぐ創業100年!

★芦原畳店 芦原将さん
職人の仕事は何年やっても満足することがありません。日々修行の毎日です。やっぱりお客さんに喜んでもらえることが一番うれしいです。

最近では畳の部屋のないお家が増えてきているせいか、畳に寝たことのない子もいるそうです。畳に寝るのはとても気持ちがいいので、ぜひ試してみてください。

現役の畳屋さん「芦原さんの仕事場」

芦原さんの仕事場はイグサのとてもいいにおいがします。

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畳屋さんになるには?

畳屋さんの学校として、埼玉県と茨城県に専門の職業訓練校があります。 また、栃木県、長野県、岐阜県、京都府、鹿児島県には畳の技を学ぶコースを選べる学校があります。
主に畳屋さんの跡継ぎがこの学校で勉強しています。
そこでは昔ながらの道具を使っての作り方や、畳を作る機械の使い方を勉強します。

国家資格として、畳製作技能士があります。 1級と2級があり、どちらも昔ながらの道具を使い、手作業で作る試験を受けます。

畳は日本の心だといいます。
畳屋さんは日本の心を守る職人です。

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