公開日 2018/04/09
〈畳職人〉稲目幸治氏
〈創業歴史〉
初代が和田町にて開業。80年近い歴史を持つ。平成12年に有限会社として設立。
〈職人の仕事とアイテム〉
和田町にあります稲目畳店にお邪魔してきました。
「畳」の素敵なのぼりが目印です。店内はイグサのいい香りに包まれています。
店主の稲目氏は三代目。奥様実家の家業を継がれ、畳職人になられました。
畳職人になる前は、工業系の技術者としてお仕事をされていましたが、
0.01mmという世界から、一寸一分というまったく異なる世界へ。
「マイクロメーターで計るようなミリ単位の仕事を、
昔ながらの単位と職人の勘でピタッと合わせるのがすごいと思った」と振り返られました。
職人の仕事は、床(トコ)という芯材と、表(オモテ)と呼ばれるイグサ、
そして両端の縁(ヘリ)をあわせて畳を完成させることです。
最近は目積表(メセキオモテ)という目の細かいイグサで作る
ヘリ無しの畳が若い世代に人気なんだとか。
たしかに市松模様にしかれた正方形の畳を見たことがあります。
また部屋のつくりや広さ、京間か関東間かでは畳そのもののサイズも変わってきます。
さらに畳返しも重要な仕事です。
イグサをひっくり返す「表返し」なのか、
イグサを取り替えないといけないのか、畳そのものを新しくするのか・・・。
実際に部屋の状態を見て判断します。お客様と直接お話しながら、適切な畳を提案し作ること。
そして仕上げて「ありがとう」といわれることが、何よりうれしいと話してくれました。
〈畳職人になるには・事業継承〉
畳職人になるにはどうしたらいいのか質問しました。
多くの畳屋では、親から子への世襲制となっています。
まったく新しく職人を目指す場合、自分は受け入れたいと思っているが、
和室が減り、全盛期の半分ほどの仕事量になっているのが現状です。
そんななか、職人も減ってきています。今まさに後進の育成や事業継承の難しさに直面しているそうです。
これには、職人や組合全体での連携が必要とお答えになりました。
最後に、仕事についてこだわりを聞いたところ、「こだわりは持たない」との返答。
「新しい考え方にふれたり、取り入れたい。職人にもサービス業の考えが必要」とおっしゃっていました。
思いつくままにアレコレ質問しましたが、丁寧に解答してくださる柔軟なお人柄でした。
お話を伺っている間にも、お客様対応をされている姿が、
身近な便りの職人さんという印象でした。ありがとうございました!
取材日:2018年3月5日(岸亜紗子)
〈番外編〉畳の張替え作業風景
当館7階の和室(30畳)も3月14日に張替えを実施しました。
当館の畳の芯材は昔ながらの「藁床」です。
1畳が30kg以上にもなり、運ぶだけでも大変ですが、四人の職人さんたちは手際よく作業してくださいました。
全面敷いたあとは、厚さの違いを細かく調整。職人さんの手にかかると、イグサがスルスルと切れていきました。
7階エレベーターを降りると、新しいイグサの香りがします。
和室は座布団も新調しました。ぜひあわせてご利用ください。
横浜市保土ヶ谷区和田「稲目畳店」稲目様
http://www9.plala.or.jp/e-tatami/
横浜畳組合連合会
http://www.syokunin.org/yokohamakumiai.htm
神奈川県畳工業協同組合
https://www.kanagawa-tatami.com/