技文便り「館長より」

  • □■□gibun&しごと通信□■□”Vol.58”副館長より 2023/9/15

    こんにちは、副館長の大木です。
    メールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

    『大工の七つ道具』というものがあります。
    指金、ゲンノウ(カナヅチ)、カンナ、ノミ、ノコギリ、チョウナ、そして墨壺(すみつぼ)の七つです。
    その中でも現代で大きく形状が変わってきているのが墨壺です。

    墨壺は糸に墨をつけて引っ張り、糸を弾いて木材にまっすぐな線を引く道具です。
    昔は木で出来ていて、その飾りに趣向を凝らして大工さんは腕を競っていたとのこと。
    匠プラザに展示されている墨壺も、鶴と亀の彫刻が施されています。
    その他の七つ道具はその機能を追い求めた形状をしていますが、墨壺だけは工芸品のような美しさがあります。

    現代の墨壺は、墨のついた糸を引くという機能は同じですが、
    プラスチックで出来ていて、見た目がとてもスタイリッシュ!
    これはこれで機能に特化したかっこいい道具となっています。

    さらには墨すら使わずに、レーザーで疑似的に線を引く道具もあります。
    もはや墨でも壺でもない墨壺です。
    未来の職人は「なんでこれが墨壺っていうんだろう」と疑問に思うのでしょうか。

    大木佑介

     

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