【ハマの職人 第7号】 ~この横浜に継承したい技の話~

公開日 2018/09/09

 

【職人名】石橋賢一氏

 「手造りとうふ ちばや」代表 横浜豆腐商工業協同組合 理事長

〔創業歴史〕

昭和25年戸塚区中田町で創業。
東京大森に移店後、現在の地、戸塚区汲沢町に店を構える。
現在2代目。

〔職人としごと〕

夏の暑い日、朝7時にお店に伺い、取材をさせていただきました。
私が伺うと早速、豆腐作りが始まりました。豆腐を作る工程を見学しながらの取材です。

まずはその日に販売する、絹ごし豆腐を作ります。
水を含んでずっしりした大豆を機械ですりつぶし、蒸気で煮て、豆乳を絞り、
それから何度か力を入れておからを絞り、たっぷりの豆乳を型に入れる。

これらの作業は力が必要で、次々にこなしていかなければならず、合間の時間に清掃したり
休む暇なく動いて大変な仕事という印象を受けました。そして、絹ごし豆腐をにがりで固めている間に
また休みなく、木綿豆腐を同じような作業で作っていく。
毎日その日に売るものを、こうして朝早くから作り、作業を無駄なく進めていく姿に
「職人の世界」を見た気がしました。
きっと、手の感覚や動作が身に染み付いてしなやかに仕事ができるのでしょう。

石橋氏はお父さまが豆腐屋を創業され、2代目です。子供のころから、店番をしたり
親の手伝いを嫌々してたので、豆腐屋にはなりたくないと思っていたそうです。
大学卒業後は商社マンとして働いたけれども事情があり、親の仕事を継ぐことに。
単純に見えたお豆腐屋の仕事だったけれど、実際は奥が深く、商売のやり方を考えたり
お豆腐づくりを研究したり、面白みを感じる感じるようになったのだそう。

「一言で職人とは」とたずねると、
「自分で進む道を見つけて、それに邁進できる人」という答えでした。
努力して1つでも、2つでも何かものにできれば名人になれる。力強いお言葉です。
努力は無駄にならない。努力を続けること、どれだけ実践できるかが大切
思って仕事をされているのだそう。
休暇のたびにご家族と山登りに行ったり、スキーの先生をしたお話をされながら、
「毎日楽しく仕事するのも努力!!」というお言葉。

「面白いからやってみな~」と出来上がったお豆腐のカットの体験をさせてくれました。
水槽の中で泳ぐお豆腐を捕まえて、水中でまな板にのせるとずっしり重くてバランスを取るのが難しい。
やさしく扱わなければいけないので、何だか生き物を扱っているようでした。
大豆を煮た後の甘くやさしい匂いに包まれ、ふわふわとほんのり温かい出来立てのお豆腐は
赤ちゃんのようです。石橋氏は大事そうにお豆腐を扱い、手際よく商品棚に陳列していきます。
大量生産された安価な製品はそれなり理由があるとのこと。街の豆腐屋さんの手造り豆腐は
味へのこだわりや鮮度などが違うことを知って欲しいとおっしゃっていました。
国産のこだわった大豆で作ったお豆腐は安全なもの。
作り手の思いを知ったら、これからは街の豆腐屋さんのお豆腐を選ぼうと思いました。

取材日:2018年7月14日(近江玲奈)

 

手造りとうふ ちばや
電話:045-881-0855

横浜豆腐商工業協同組合(神奈川県豆腐油揚商工組合HP内)
https://kanagawatofu.jimdo.com/